美崎栄一郎『自分を捨てる仕事術-鈴木敏夫が教えた「真似」と「整理整頓」のメソッド-』

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美崎栄一郎作家ビジネス書作家商品開発コンサルタント

【キーワード】

ビジネススキル,整理整頓,鈴木敏夫,仕事術,ジブリ

【コメント】

マネから始まるジブリ流仕事術

自分を捨てる仕事術-鈴木敏夫が教えた「真似」と「整理整頓」のメソッド-

「3年間、自分を捨ててオレの真似だけしてろ! どうしても真似できなかったところが君の個性だから」

アニメプロデューサー・石井朋彦。その真摯な仕事の根底にある「自分を捨てる仕事術」とは何か。
「自分のなかには何もない。何かあるとしたら、それは外、つまり他人のなかである」という真実を、強い筆力で伝える1冊。
スタジオジブリの名プロデューサー鈴木敏夫が若き著者に教えた、会話術、文章術、人身掌握術、トラブル対応ほか、具体的方法論のすべて。

2000年、まだ『千と千尋の神隠し』が、日本映画歴代記録を塗り替える前、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが、当時22歳の著者に伝えた言葉がありました。

「3年間、自分を捨てて、オレの真似だけしてろ! 」

その日から、「何者でもない若者のための仕事術」を、徹底的に伝授される日々が始まりました。
著者の石井朋彦さんの家には、「鈴木敏夫語録ノート」がぎっしり、段ボール2箱分あります。 このメモをもとに、「鈴木さんの仕事術を若き読者に伝える」という主題で、執筆が始まりました。

原稿をいただいてまず驚いたのが、鈴木さんの教えが、議事録の取り方、会議の席順、映画を観る視座、人間関係、トラブル解決、宣伝の手法にいたるまで多岐にわたり、どの教えも具体的・実践的であること。
さらに、その教えをまっすぐに受け取ろうとするがゆえに、
悩み、葛藤し、失敗し、成長していく著者の姿が、正直に描かれていたことに胸を打たれました。

「自分の意見を言わず、他人の意見だけをノートに取る」
「他者に求められる自分が、自分なんだよ」
「人のために仕事をする」
「自分がどう思うか、は関係ないんだよ。まわりが石井のことをどう見ているか、ということのほうが大事なんだ。じゃないと、いい仕事はできないよ」

「鈴木敏夫語録」は、すべて「エゴを手放せ」という本質に通じるものでした。

現代社会には、「自分」という形のない言葉があふれています。
「自分探し」「自分らしさ」「自分の生きがい」「自己実現」「自分の『好き』を仕事にする」……。

しかし、個性を尊重しすぎた現代に蔓延する苦しさに、みなさんももう気づいているのではないでしょうか。

とはいえ、本書の「自分を捨てる」提案は、単にエゴを手放すことだけを奨励するものではありません。「自分を捨て、他人を『真似』する」ことが、揺らぎない「核」=「持って生まれた本来の自分」を獲得し直す手段であること。その混じりけのない真実が本書のハイライトです。

20代の、右も左もわからない仕事人はもちろん、30代後半から40代の、多少の成功体験のあと「自己流の壁」にぶつかっている人に、ぜひ読んでいただきたい本です。

いったん読み始めたら止まらない「読み物」としてのおもしろさにも注目ください。

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